ギョンス✕チャニョル
_/_/_/チャニョル_/_/_/
結局、あの日はそれ以上のことは出来なかった。
すぐに姉が帰ってきたのだ。
慌てて換気して、服を着てと慌ただしかった。
バタバタして、あれから何もない。
そして、数日後…
「おは…」
「ギョンスー!おはよー!」
テイルに先を越された。
「おはよう、テイル。」
そして、ギョンスがこちらを見た。
「チャニョルもおはよ。」
「…はよ。」
“も”って何?
ついでみたいに…!
「チャニョル、なんか不機嫌?」
「別に?」
もやもやしてしまう。
ギョンスは眼鏡をコンタクトに変えてから声を掛ける生徒が増えた。
雰囲気も穏やかで優しくなったからだろう。
放課後になってもギョンスの周りは人がいた。
はー…
眼鏡を取ったほうがいいなんて言わなきゃよかった。
嫉妬しまくりだ。
でもそんなのかっこ悪すぎるからバレたくない!
感情は抑えないとっ
俺はそのままバイトに向かった。
ティロン‥
”今日カフェ行くからね。”
「!」
相変わらずギョンスはメイドカフェに来てくれる。
いいって言ってるのに…!
まぁ、ギョンスがどうしても行きたいって言ってくれるならしかないよなぁ…!
「おはようございます♪」
着替えて、化粧もバッチリだ。
「ニョルちゃん、今日予約入ったわよ。」
店長が俺に声を掛けた。
「あ、はい。」
存じております…!
カラン…
「おかえりなさいませ、ご主じ…!」
なんと目の前には見に覚えがあり過ぎる人物が立っていて、思わず固まった。
「ニョリひょーん、来たよっ」
「んん?」
思わず二度見した。
「僕のこと忘れてたでしょっ」
と、ちょっと怒りながら近づいてきた。
「って、セフニぃ!?どうしてお前がここにっ」
すると、にやりと笑った。
「偶然…な、わけないでしょ?
以前に、チャニョリひょんを追いかけて知ったんです。」
「えぇ?!」
そう、幼馴染みのセフン!
どこでバイトしてるかしつこく聞いてきたがずぅっと無視していたのだ。
まさか、ストーカーされてるとはっ
俺はセフニをくるっと出口の方に向かせた。
「何するんでつ?」
「今は仕事だから遊んでやれない。
それに今日は予約が入ってるんだ。」
セフンが足に力を入れた。
「嫌だ~!
か、帰らない~っ」
「いい加減にしなsっ」
ぐいっ
大きな力によって引き離された。
「ちょっと、ストーップ!
ニョルちゃん、何してるのっ」
店長が俺からセフンの間に立っている。
「すみません、幼馴染みが勝手に来ちゃってて
帰らせますからっ」
店長は彼がお客様ではないことを
わかってないかもしれない。
「落ち着いて!フニちゃんはニョルちゃんを予約したお客様よっ!」
え、ええーー?!
「申し訳ございませんでした。」
僕はセフニに頭を下げた。
「…ま、いいけどねぇ。
間違いはありまつからね。」
くそぉ…
まさか、予約してるのがセフンだとは思わなかった!
どうやら、何回か来ているらしい。
みんなの中ではフニちゃんと呼ばれて可愛がられていたらしい。
何回か来ても俺が予約かいないので、指名に至ったらしい。
ふんわりとした椅子に脚を組んで、踏ん反り返っているセフンにメニューを見せる。
「お坊ちゃま、こちらメニューになります。
今月は、山の幸、紅の天使のおいもブリュレパフェと、海の幸、プリップリホタテのチーズバーガーでございます。」
「ふーん、オススメは?」
雰囲気は、高級レストランのお客様だ。
「そうですね、『愛すクリーム♡マスカルポーネチーズを添えちゃう。』ですね。」
これなら早く出せるし、早く帰ってくれる!
「じゃあ、お絵描きオムライスで。」
「…かしこまりました。」
って、全然オススメ関係ないじゃんっ!!
あーもうっ
「オーダーお願いします。
お絵描きオムライス一つ」
「了解っ」
オーダーして、またセフンのところに戻ろうとしたその時…
カランコロン…
ぎょ、ギョンス!!
俺は慌てて隠れた。
ギョンスはベッキョンと何か話している。
俺は聞き耳を立てる。
が、しかし…!
「ニョリひょん!」
ぎゅっ
「わぁっ」
なんと、セフンが後ろから抱きついてきた。
「ご主人様放っておいて何してるんです?」
「いや、その…なんでもないから離せ。
ここは家じゃないんだからっ」
「え~」
と、言いながら離れない。
「!」
あーだこーだしていると…
ギョンスがこちらを向いていた。
_/_/_/ギョンス_/_/_/
あの日から全然チャニョルと話せない。
そして、やっと距離が縮まったと思ったのに学校で
はなんかやたら人が話しかけてくるのだ。
最初は嬉しかったが、最近は少し億劫である。
僕はかなりストレスが溜まっていた。
ああ、”ニョルちゃん”に会いたい…!
可愛いメイドのチャニョルを見て癒やされたい。
そう思ってメイドカフェに来たのに…
「お帰りなさいませ、ご主人様。」
お迎えは、チャニョルのお友達のベッキョンことべくちゃんだ。
「ニョルちゃんは指名できますか?」
「少々お待ちください。」
今日バイトなのは把握してるからすぐに来るはずだと思っていた…が。
「申し訳ございません。
ニョルはご予約が入っておりまして…」
「あ、そうなんですね。」
「すみません」
予約…!
想定外だ。
まさか、僕以外にも予約するほどの『チャニョル推し』がいる…!
「あの、よかったら私はどうでしょう?
決して後悔させませんよ?」
いや、いるだろうあんなにかわいいんだからっ
「おーい。」
そんなことは当たり前なのだが、いい気分ではない。
「あ、何でしょうか?」
「…いえ。
次のご予約をとりましょうか?」
「えっと…」
その時、
「ニョリひょん!」
「わぁっ」
声が聞こえた方に目を向ける。
なんと、チャニョルが抱きつかれていた。
その後も、なんかわちゃわちゃしている。
それもとっても楽しそうだ。
…イラッ
「すみません、今日は帰ります。」
「え、ご予約は…」
「大丈夫です!」
僕は逃げるように外に出てしまった。
仕事だから、当たり前なのだが僕以外にあんなことしてるのか?と思うと嫉妬してしまう。
「はぁ…」
ああ、嫌だ。
こんな醜い感情。
「ギョンス!」
なんとメイド姿のチャニョルが走ってきた。
「ちょ、仕事は?!」
すっごく嬉しくてたまらないのに思わずそんな言葉が出た。
チャニョルは、息が少し上がっている。
「はー、ギョンスが見えて、思わず走っちゃった。はー…」
飼い主を追いかける犬かっ
可愛すぎるっ
「ごめん、さっきのは幼馴染みで…」
「うん、嫉妬した。」
ぎゅっ…
僕はメイド姿のチャニョルを抱きしめた。
「しっ…?!」
「あんな仲良くしてたら嫉妬しないわけないだろ?」
ぎゅっ
チャニョルが抱き締め返してきた。
「お、俺も…嫉妬してた。」
「え?」
全く見に覚えがない…と、思う。
「クラスのみんな、いや他のクラスもみんな話しかけにくるじゃん。」
ああ、そうだったのか…
チャニョルも嫉妬してくれてたのか。
それがわかると、嫉妬も悪いことだけじゃないなと思った。
「僕はチャニョルだけだよ。」
お互いに見つめ合う…
「ギョンスぅ…」
ああ、このまま帰したくない…
「ニョルちゃ~ん?」
「ひゃいっ!!」
背後からメイドカフェの店長の声がして、チャニョルが飛び退いて離れた。
「お坊ちゃまがまってるわよ?」
「す、すみません…」
チッ…
いいところだったのに。
「ギョンス、またっ、連絡するっ」
引き摺られながら、子犬のような瞳でこちらを見つめるチャニョル。
「うん、また後でね。」
僕は笑顔で手を振る。
この嫉妬や寸止めでもやもやした気持ち分は
後でたーっぷりいちゃいちゃで返してやる。
覚悟してね、チャニョラ。
【おしまい】
遅くなってしまいすみません。
最後までありがとうございました🙇
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