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坂ダ!

***坂道ダッシュ!☆EXOの妄想BL小説です。***

指輪*続5

【セフン・シウミン】




説明だけでは、セフンには上手く伝えられなかったので


結局、

「空いてる時に、一緒に来てくれませんか?」

と、言われ現地に向かっていた。




あれから彼女との連絡は途絶えたまま…

一人でいることが耐えられなかったかもしれない。


実際、俺自身もどんな気持ちになるか
試してみたかった。




彼女とは、駅ではなく、ちょっと人気が少ない場所で待ち合わせを
していた。

いつもの待ち合わせの場所に…つい身体が向かおうとする。

彼女が、俺を見つけた瞬間の顔を思い出す…。





"シウミン!"





「しうひょん?」

セフンの声がして我に返る。

「あ、すまん…カフェは、こっちだ。」



何事もなかったように案内をした。






しうひょんは、淡々と歩いているように見えたけど
思い出の場所を楽しんでいるようにも見えた。




彼女のことを考えているんだろうな…

隣は僕なのに。



でも、構わない…

側に居られれば…







なんてね。

失敗したな…。







結局、彼女が好きだと再確認させただけだったんだ。

「カフェは…」

カフェを見た瞬間、しうひょんの顔が強張る。


「ここなんだけど、別にスルーしていいよな?」

不自然に笑う。

「は、はい…」





一瞬で顔が曇った…?







前回彼女が、来なかったいつものカフェ…

あの時の事を思い出してしまった。





その瞬間、一気に夢から覚めてしまったように

優しい彼女の面影が消えた。





実際は、メールしても、電話しても
返事はない。




俺の一方通行。

俺たちの関係は、このスマホでしか繋がっていないんだ…


****************

時間を短縮して、まだ日が出ているうちに夜景スポットを歩いた。

「今は、まだ明るいから普通の景色だけど、夜だと…綺麗だよ。」




夜になると、光でいっぱいになる。

真っ暗の中の「光の城」を見つめている彼女の横顔を

見つめるのが好きだった。





今は、明るすぎて

無機質な機械ばかり見えているけれど。








「今は、まだ明るいから普通の景色だけど、夜だと…綺麗だよ。」

しうひょんが言った。




橋から見る、海の景色。

多分夜になれば、工場の機械に光が灯り

イルミネーションのようになるんだろう…





「僕には…今の景色も十分素敵ですよ…」





好きな人と、同じ時間、同じ景色を見る…

それだけで、その世界は宝物になる。

「それならよかった。夜は…恋人と行けよな。」







それは、いつ叶うんでしょうか?

いや…叶わない。





彼女しか見えてない貴方を

僕は、まだ諦められないから。







「しうひょん…」

「ん?」

「ご飯だけ、食べて行きませんか?」

「あ、いいよ?」

「…彼女と、食事した場所に行きたいんです。」




「え?」




一瞬歪む顔…
ぴくっとする眉毛…




ああ…嫌なんだな。

わかってたけど。




「あ、ああ…」

しうひょんは、ぎこちなく頷いた。

「ありがとうございます。」

嫌だと言われる前に




最後のデートコースへと向かった。





「光の城」とは、工場夜景です。
とっても綺麗ですよ^^


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指輪*続6

【セフン・シウミン】




「ここですか…」



しうひょんは、何も言わずに雰囲気のいいお店のドアを開ける。



内装は、白で統一された、清潔感のある
感じだった。

植物がちょこちょことあり、育てているらしい。



キョロキョロしてたら、しうひょんが
それを見かねて言った。




「あれは、モヒートに使うミントだよ。」

「モヒート?」

「お酒の名前」

「あ、ああ…」




一瞬何のことかわからなかった…。

お酒飲まないからなぁ。

そうかぁ…




「じゃあ、モヒート飲みたいです。」

「…ミントだぞ?ってかお酒だけど。」




「一杯だけ…ダメですか?」

「別に、自由だけどさ。」

あんまり興味なさそうに答える。



ミントって言われてもピンとこないんだよな…

ぼーっと考えていると、店員がきて、注文をとる。



「モヒートと、カルーア…あとはコレとコレ。」

しうひょんが、メニューをみて適当に頼んでいる。



「え?!」



しうひょんが?

カルーア?!



「なんだよ?」

「いや…なんでもないです。」



・・・・・・・。



まさかカルーアミルク飲むなんて…



*************



「お待たせいたしました。」



モヒートと、カルーアがきた。



モヒート…ってこれか。

草だ…思いっきり草が入ってる。

ダメそうだな…

と、思ったが、頼んだのでとりあえず飲んでみる。




げっ…やっぱり、好きじゃない…




しうひょんが、フッと笑った。

…完全に子ども扱いしたんだと思う。



「…ったく。ほら。」

カルーアミルクとモヒートを交換した。




「え?」

「お前、絶対苦手だと思ったんだよ。」



ぶわっ…



し、静まれ心臓…

胸が…

苦しい…



彼女のような扱いに、一瞬錯覚を起こしてしまった。

落ち着け…これは、マンネに対してのひょんだ…

勘違いだ…。



「モヒート、そんなに不味かったか?」

俯いている僕を覗きこむ…。




やめて…




「…大丈夫です。」

「お酒入ってない、チョコドリンクとかの方がよかったかもな…」

「いや、カルーアがいいです。」



しうひょんが、僕のために頼んでくれた…

カルーアミルク、







セフンは、何を考えてるのかわからない。




モヒート…ラム酒と、ライムを使ったさっぱりとしたお酒。

ミントの匂いがスーッと鼻をくすぐる。



甘ったるい飲み物が好きなセフンは、苦手なはずだ。

「飲めないから止めとけ!」

と、いうのをぐっと抑えて交換できるようにカルーアを頼んだ。




飲んだ瞬間、めちゃくちゃ嫌な顔をしてた。




わかりやすいのかわかりにくいのか…

わからないやつだな…ほんと。




つい、笑ってしまった。

セフンは、カッコ悪いと思ったんだろう。

暫く俯いたまま、動かなかった。






彼女とは…ここには何回かきた。

ミントを育ててるからか、

雰囲気のいい明かりが部屋を照らす…



ここで、横を向いてる彼女に…

触れるだけのキスをしたら…

真っ赤になって…俯いた。

あのときも、こんな風に覗き込んだ気がする。





幸せは…後から感じるんだな。

だから、後悔するんだ。





あのときに、幸せだと思って、

もっと大切にしていたら…

何か変わったんだろうか?








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指輪*続7

【セフン・シウミン】




あなたを包みこめぬなら

あなたが休める木の枝になりたい。


あなたに寄り添えぬなら

あなたの場所になりたい。




いつ、あなたが飛び立つか

僕は、ずっと見つめているんだろう…




僕は、この場所に留まるように嘘を重ね…繰り返す。

羽を切って飛べなくすることは出来ないから。





「今日は…ありがとうございました。」

「いや、俺も楽しかったよ。」



嘘だ。



あれからしうひょんは、どこか遠くを見ていた。

僕の姿も、声も聞こえてない…

多分、彼女を思い出したんだろう。

楽しいはずない。



それでも、どこか繋がりが出来たことが少なからず嬉しかった。



この、繋がりを…

逃したくない…




「しうひょん…」

「ん?」

「謝らなければならないことがあります。」





「僕は、嘘を付いてました。」

「え?」

「彼女ができたっていいましたけど、あれは嘘です。」




しうひょんが僕を見つめる。




「前から彼女はいました。」

「そうなのか…?」





「最近、フラれたんです。」

「…」

「でも、言えなくて…幸せなしうひょんを見たら、
何か変わるかな…って思ったんです。」




作り話をさも、本当のことのように伝える。

貴方が言葉を、吐き出すのを待つ。




「そっか…」

しうひょんはそれきり黙ったまま歩いた。





ダメか…。




「本当にすみません…」

「…」

頭を下げた。



留まる木の枝は…
必要なかったかな…?



「今日は、楽しかったです。」



無理矢理、笑顔を作って言った。

これは本当…
偽りのない言葉。











「俺も…だ。」




しうひょんは、僕が見た途端

視線を下に逸らした。




「上手くいってなんかない…」

「え?」

「彼女と…別れそうなんだ。」





プライドが邪魔するようで、

苦しそうにしうひょんは吐露した。




小鳥が…

僕の場所で羽を休ませようと、空から降りてきた。







最後は、彼女のことでいっぱいになった。

いろんなことがごちゃまぜ…

とにかく、彼女の思い出の場所から離れたかった。





そして、セフンからいきなり謝られた…

彼女と、別れたばかりと告げられる。





セフンは傷ついていたんだ…。

誰にも相談できずに、煮詰まっていたんだろう。
だから、少し強引だったのかもしれない。



…俺も本当のことを言うことにした。

少々の勇気が生じたが
スゥーッと心が軽くなった感覚は、今までの苦しさを少しでも忘れさせてくれた。






俺は、誰かに言いたかったのかもしれない。

誰かに聞いてほしかったのかもしれない。




そう、誰でも良かった。








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指輪*続8

【セフン・シウミン】





僕はしうひょんに

偽りの「自己開示」をした。



僕が自己開示したことで、しうひょんも自己開示したのだ。


※自己開示
自分のプライベート等をさらけ出すことで
相手が好意を持つという心理




しうひょんは、僕と二人きりになると
僕の元カノの近況状況を、聞いてくる。



「最近は、どうなの?」

「…ライン、返ってこないんです。それきり…」



スマホを確認するフリをして
ため息を吐いてみる。




「そうかぁ…」

残念そうに、僕のスマホを見つめた。

そして、彼が言って欲しい一言を添える




「で、しうひょんはどーなんですか?」




「俺も、電話してもメールしても…ダメ。」

しうひょんも、スマホでメールを確認している。




口角が上がりそうになるのを…こらえる。




「ラインはしてるんですか?」

しうひょんがこっちを向いた。



「最近は…してない。」

「…ラインだと自分だけしゃべってるみたいで嫌ですよね…。」



多分、一方的なんだろう。
と、思って何となく、言ってみた。



「既読すら、ないとな。」




読まれてもないと?




「…辛いですね。」

しうひょんは、読まれてもいないという現実を受け止めたくないんだろう。

便利な機能を恨めしく思っている筈だ。





どう考えたって彼女は、完全にしうひょんをシャットアウトしている。





"諦めたらどうです?"




言いたいが、これは禁句だ。

相談相手に促されて、別れようと決断するタイプではない。



ましてや、マンネの僕にそんなこと謂われたら、

【絶対に諦めない】

と、意気込んでしまう可能性だってあるのだ。





【別れた方が、いいのかな?】




彼から、言われるまで

待つ。

それが、僕にできる今の最善。




もっと、苦しんで…
僕を頼ればいいのに。




ただ側にいるだけのつもりが…


だんだんとが出てくる。


ずっと、側に置いておきたいと願ってしまう。





遅効性の毒のように…

あなたをゆっくりと蝕めればいいのに。


ああ、もうすでに手遅れだと…

腕の中で囁けたらいいのに。




…夢のまた夢のような話だ。







セフンは、聞き上手かもしれない。




多分、俺が言いたいのをわかっているから自分の話は簡単で短い。


勝手に決めつけない。

アドバイスも特にしない。




ただ聞くだけだ。




俺の言葉を、緩やかな声で反応し、聞き流す。

ただ、吐き出したいだけだとわかっているのかもしれない。



なんて言えばいいか
わからないだけかもしれないけども。




吐き出せば、本当に楽になるんだと実感する。




昔、彼女がバイトの愚痴を

いつ終わるんだ?

と、思うほど話続けていたことを思い出す。


俺は、こんな風に聞かないで

【そんなに辛いのは、お前だけじゃないよ】

とか、言ったような気がする。




【そんなの、わかってる!】

【ただ、言いたかっただけ!】



本当にそうだな…

俺には、その時の彼女の気持ちはわからなかった。



こんな風に、聞いてあげるだけでよかったんだな。


ごめんな…。


もう、無理なのかな?

今なら、もっと上手く付き合える気がするのに。


指輪を無意識に弄っていた。



****************

―ダンススタジオ―



休憩中、ルゥハンから声を掛けられた。

「この後、予定ある?」

「ああ、セフンとカフェに行くよ。」



「あ、そうなんだ。」

一緒に行く?と、付け足そうとしたが、少し間が空き過ぎたみたいだ。



「…最近、仲いいよね?」

「そうかな?」



…ただ、共通の会話があるだけだけど。



「前より、ピリピリしなくなったね。」

「…ピリピリ?」



俺が?と、首を傾げた。

「…本人は意外と気づかないもんだよね。」




知らないうちに

俺に変化があったんだと気づく。




彼女から、相変わらず電話やメールは
来ないけど…

前より気持ちは楽になった気がする。




セフンのおかげ…なのかな?








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指輪*続9

【セフン・シウミン】





「しうひょん」




しうひょんの耳にコソッと話す。

「何?」

「ここは、いい雰囲気のカフェですね…」


二人でカウンターに座る。

練習帰り、お気に入りのカフェを教えてもらう。




カウンターが多く、あまり広くない。

そこで、コーヒーの出来上がり過程をみるのが好きみたいだ…




しうひょんは、嬉しそうに


「だろ?」


と、言った。

僕は、カフェモカを頼んだ。

「セフンは、甘いのが好きだもんな。」

「はい。」

僕の好みをわかってくれるのが嬉しかった。



ここのお客さんたちはみんな自分の世界を持っているみたい…

静かだ…

コーヒーの香りを共有している。

そんな感じ。



カフェモカを飲んで、しうひょんを横から見つめる。

幸せだな…。




「ひょん、何見てるんです?」

スマホを覗きながら、肩に手を置く。

「ん?見る?」

「…はい。」



スマホの画面を見つつ、しうひょんに顔を近づける。

大きい目…

白い肌…



「セフン…近いよ」

「あ、すみません。」



わざとですけど。



僕は、さりげなくしうひょんに触れる癖をつけている。



どこかしら触れる。

近づく。



しうひょんにとって、

触れられていることが当たり前になるように。



そして、

…ふと、寂しく感じるように。




そんなときも、しうひょんは指輪を弄っている。

その貴金属に呪われてるんじゃないですか?



イラッとした。



さっき「近いよ」と、言われた距離にまた戻っても、

指輪に無意識に集中している為、全く気づかないみたいだ。




「指輪、見せてくれますか?」

「え?」



ちょっと嫌な顔をされた。






「指輪、見せてくれますか?」

「え?」



そう言われて

あ、俺は指輪を弄っていたんだと気づいた。




…正直見せたくない。




セフンには、彼女からのプレゼントといったが

本当は自分が買ったものだから。



…指から抜いていろいろ見られたら

ただの「カタチ」だと、バレてしまうんじゃないかと思った。




裏には…

実は、何も彫っていない。



言葉を彫るのに、かなり時間がかかると言われて

とにかく1日でも早く

指輪という名の「愛のカタチ」がほしかった俺は

急いで、買ってしまった。





だから、この指輪は

ただの「カタチ」でしかない。

俺の一方的な心の指輪だ。





「カタチ」だけの

空っぽの指輪だとバレるのは怖かった。




バレないように、

指から抜かず

手の甲を向けて、広げて差し出した。





「なかなか…いいだろ?」

指が…震える。

「…シンプルですね。」

「もっと、よくみていいですか?」




セフンは、俺の手首をゆっくりと引き、目の前まで持ってく…




恐ろしいほどに、じーっと…

指輪を見つめている。




これ以上…見ないでくれ。




ただの、貴金属だとバレたら…

と、咄嗟に手を引いた。









…かわいい、指。




指輪なんか見てなかった。


差し出された瞬間

しうひょんが、熱で魘されていた時にこの手にキスを繰り返したことを思い出した。



あの時のように



吸い付きたい…

頬擦りたい…




そんな気持ちばかりが僕を支配した。




疚しい心が見えてしまったんだろうか?

しうひょんは、手をいきなり引いた。





掴んでいた手から

僕の手にひっかかり

指輪がするりと抜けるのがわかった。




キンッ…



指輪が床に落ちた。

「すみません!」

慌てて拾おうとしたら…




「触るな!」




拾う寸前ピタッと、手が止まる。



しうひょんが、即座に拾い、

元の指の位置に指輪をはめる

そして、安心したように一息ついた。

「…ごめん。」

「いえ、こちらこそすみません…」





貴方は支配されているんですね。





忌々しい

忌々しい

その指輪に。







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