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坂ダ!

***坂道ダッシュ!☆EXOの妄想BL小説です。***

19.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



_/_/_/ギョンス_/_/_/


「ガンウ…!」

「んんっ…」


チャニョルが壁を背にして、覆いかぶさるようにキスしてきた。
それに僕は追いつこうと必死に袖を掴み背伸びする。

なんで?
どうして??
と、思うより身体が勝手に動いていた。


「はぁ…はぁ…チャニョラ…」

ドラマのような、啄むキスは息継ぎが難しく息ができなかった。

「ごめん…いきなり…」

「もう、終わり…?」


僕は、チャニョルの腕を掴み背伸びして唇に触れた。
もっとこうしたかった。
こんな情熱的なチャニョルを見たのは始めてだったから。



「んん…」

「ガンウ、息して?」

チャニョルがキスしながら目をあける。

「ん…」

はぁ…はぁ…

「そう、上手だ。」


そう言われるとなんだか、変な感じた。


「ひっ!」


チャニョルの手が、Tシャツの中に入り込み腰を直に撫でてきて、身体がビクリと反応してしまった。

  
「ご、ごめん…」

「大丈夫、びっくりしただけだから…」


しかし、チャニョルの手は離れてしまった。


「帰ろっか…」

「…うん」












「ただいま。」


幸せな余韻が残ったまま帰宅する。


「ギョンス、どこに行ってた?」

「…お父様!」

いつも出張や残業が多く、顔を合わせないのになんでこんな日に限って…!

「今日は塾が休みだったんです。」

そう、それは嘘じゃない。

「知ってる。しかし、塾に連絡したら最近遅刻が多いそうじゃないか。」

「…!」


塾に連絡までしてるなんて…!


「どこほっつき歩いてるか知らないが…
今が1番大事な時だ。」

「わかってます…!」

「ギョンス!」


バタンッ


部屋に戻るとすぐドアの鍵を締めた。

幸せな気分だったのに、最悪だ。
もう少し警戒しないと…




ボスッ

ベッドにそのまま倒れた。



唇に触れる。
チャニョルと、初めてのキス…したのに…

それに…
腰を直に撫でられたことを思い出すと、身体がじんわりと熱くなる。

あれは、愛撫ってものなのかな…
びっくりしたけど、もっとして欲しいと思ってしまった。

下半身に集まる熱…




ピロン…

なんと、チャニョルからラインが来ていた。




『ちゃんと帰れた?』

『うん、帰れたよ。』

優しい…
ほんとに彼氏だ。

『次はいつ会う?』


あ… 


『今週は無理かも。来週なら多分大丈夫!』


本当は毎日でも会いたいのに…
父にバレたら厄介なので、少し会う日を減らさないと。




『わかった。』




その日のチャニョルからのラインはそれで終わってしまった。

なんて送ればいいか考えているうちに、僕はそのまま眠ってしまった。






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18.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



_/_/_/ギョンス_/_/_/


夕方繁華街に来るのは、初めてではないが新鮮だった。
毎日塾の通り道だが自分には関係ないと思って素通りしていたからだ。

人混みが凄くてうざったいと思っていた場所だったが、今日はそのお祭り騒ぎもワクワクしている。

屋台ってこんな沢山あるのか…


「何か食べたいのある?」


じっと見すぎていたせいかチャニョルに声を掛けられた。


「あ、いや…食べたこと無くて。
美味しいのかなって。」

「買い食いとかしたことないの?」

「んー、親が厳しいからね。」


すると、チャニョルが屋台に向かったのでそれに付いていく。


「何が食べたい?」

「え、あ…トッポッキ!」

「トッポッキ、あーあと、ヤンニョムチキンも。」

「あいよ。」


僕は、コップに流れるように盛られるトッポッキと、ヤンニョムチキンに魅入っていた。

そして、チャニョルに手渡される。


美味しそう…


興味ないと思ってたけど実は食べてみたかったのかも。
「酸っぱい葡萄」のようにどうせ美味しくないと思っていただけかもしれない。


「毎度あり~」

「!」

じっと食べ物を見ていて、チャニョルが動き出したので慌てて後ろに付いていった。

ベンチに座り、隣に座れとぽんぽんとベンチを叩くチャニョル。

そして座ると、チャニョルヤンニョムチキンのカップを僕の手から取った。
その時に手が触れる。


わ…


しかし、チャニョルは気にした様子もなく、ヤンニョムチキンとトッポッキをどちらから食べようか迷っている。

僕に興味がない彼のことドキドキさせてみたい。
僕は、勇気を出して貰ったフォークを突き刺した。



「はい、あーん。」

 

トッポッキを近づける。


「え、何?」

戸惑ってるチャニョル。
しかし、ここは強引に…!

「いいじゃん、あーん。」


すると、口を豪快に開けてくれた。

パクッ


「おいし?」

「…まぁまぁかな。」


味を確かめながら咀嚼してる。
なんだ、全然普通だ。
こーゆーこと、慣れてるのかも…

落ち込んでいると、トッポッキが目の前に現れた。


「はい。」


慣れてるなら、ドキドキさせることは難しいだろう。
僕は、躊躇なく口を開けて頬張った。

パクッ

もぐもぐもぐもぐ…


「ん、まぁまぁだね。
もっとコチュジャン欲しいかも?」
 

実は僕は舌が肥えている。
子供でも食べれるように味は甘めだ。

大量に作ってるからか味も少し薄めでもある。
醤油、ケチャップを足してもいいかも…

一人、味の吟味に没頭しているとチャニョルがこっちを見てる気がした。


「チャニョラ?」


目が合うとびっくりしたのか逸らされた。




「ドギョンスは…今日俺に会うこと知ってるのか?」


え、なんで急に?
冷や汗が垂れたと思うほど身体がひやっとした。


「あ、いや…俺なんかに会ってるのバレたら
やばいんじゃない?嫌われてるし…」


嫌われている…?
チャニョルはそう思ってたのか。


「…」


嫌ってない!
ここにいる君のことが大好きな僕(ガンウ)が”ドギョンス”だ。


「兄は塾だから大丈夫。」


そんなこと言えるわけがない。


「そ、そう」

「…それに、バレたっていい。
僕はチャニョルが好きだから。」



僕はまた、嘘の上に本心を重ねる。
嘘は、本当のことが混ざっていたほうがバレないらしい。


 
「チャニョルは?
僕のこと、少しでも好きになった?」

「それは…」
 
「顔が嫌?」


君に好意を持ってるガンウだったら…
君が嫌いなドギョンスと顔が全く同じでも好いてくれる?



いや、チャニョルの“好き“が、僕の“好き“と同じ好きじゃなくてもいい。

なんでもいいから『好き』って言って…




すると、近付いてきて、おもわず目を瞑ると、

ちゅ…



「!」
 


額に柔らかい感触があった。



「嫌いじゃないよ…」

「?!」


僕はチャニョルに抱きしめられていた。

嫌いじゃない…
なんて曖昧な言葉なんだ。
彼の胸の中で思う。

でも、曖昧なら彼の胸の中に居られる。
それならそれで構わないと思った。














結局、混んでくるとベンチの席を譲るしか無くなり、席を立つ。


「「……」」


き、気まずい…


ふらふら歩いていると思ったら、チャニョルは駅に向かっていたらしい。


ああ、もう終わりか…

電車の中もお互いに無言だ。

…もしかしてさっきの後悔してるんじゃないだろうか?
無言だといろんな悪い方に考えてしまう。


「あ、次の駅だ。」


チャニョルの視線が電車の液晶画面へ向かった。

 
「…また、ニョルちゃんにも会いに行くね。」

気まずいまま終わりたくない。
ちゃんと今後のことも伝えなくては。

「こ、恋人なんだから来なくていい。」

ん?

「ニョルちゃんのメイド服見たいし。
かわいいから。」

「おい!」

殴る動作をされて、咄嗟に避ける。

「早っ…ははっ」


その動作が大袈裟だったためか、笑顔がみれた。


「やっと、笑った。」


今日はこれで十分だ。
”嫌いじゃない”なら良いじゃないか。


「また連絡する。」

「おお。」


電車のドアが開いて、僕は外に出た。


あ、そういえばさっき…
凄く重要なことを言われたような…?


グイッ…


「?!」

一緒に電車を降りて、俺は…


「んん…んんん」


チャニョルに腕を引かれて、「え?」と、思ったときにはもう唇をが重なっていた。



これは夢か?

僕は彼の腕にしがみつく。




「ちゃ、チャニョラ?」




唇を離されると、僕は信じられないという目でチャニョルを見つめていた。

唇にキスなんて、期待していいのだろうか?
いや、引き止めたつもりで偶然唇がぶつかったとか?


「いきなりごめん。
俺もちゃんと好きって伝えたくて…」

?!

「…それってホントの恋人になってくれるってこと?」

「うん。」



嘘、本当に?
僕と同じ好きでいいってこと??


チャニョルの少し赤らんだ耳の先を見て、じわじわと真実味が増してきた。



「やったぁ……!」




僕は、心の声が飛び出してしまっていた。






風邪引いてしまいました(TT)
暑いので皆様も病気に気をつけてください…

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17.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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PiPiPi…

携帯の目覚まし機能で目を覚ます。


「ん…」


僕は、目覚ましでなかなか起きない。
ゴソゴソと布団に包まって、充電してる携帯を手探りで探し、音を消した。


「はぁ…」


昨日は凄い一日だった。

メイドカフェでチャニョルと会って、その後連絡先を渡して、返事が来て‥


まさか、夢じゃないよな?


ラインを確認すると、昨夜のチャニョルとの会話は残っている。


彼から電話が来て、そのあとは


『おやすみ』


で、締めくくられた。


その文字をなぞる。


夢じゃない…
嘘みたいで嬉しい。

ラインの会話は何だか宝物のように特別に感じた。
何度読み返しても飽きないのだ。



…あ、そうだ。

コンシーラーを付けないと。








思ったより時間がかかってしまった。
自分の顔から首筋にかけてにこんなに黒子があるなんて思わなかった。


「行ってきます。」


登校中、携帯が震えた。


『今日何時にする?』

チャニョルからだ。
返事に迷っていると、更にラインが届いた。


『学校終わったら直行でいい?』


直行ってことは…制服?!
それはまずい!


『チャニョルの私服がみたい。』
 

上手く回避出来たと思う…
すぐに返ってきた。


『えー!』


ビックリした絵文字も付いている。

あ、やばい…嫌だった?
どうしよう。


『いいよ?その代わり
お前も私服着ろよな?』





!!!!!





私服なんて、ちゃんとしたものは全然持ってない!
それはそれで慌てた。



*************************


これで大丈夫だろうか…


飼い犬に似てる黒い犬のTシャツとハーフパンツを着てきた。
それ以外の服は真っ黒い服ばかりだったので、この選択肢しかなかった。


しかし、自分の服のことはチャニョルの姿を見た途端に気にはならなくなっていた。

スラッとした高身長、白いシャツに黒いシャツを羽織っている。



通り過ぎる女性が皆2度見している。



「チャニョラ!」


僕は思わず声を掛けて走っていた。


「嬉しい、本当に来てくれた!」


昨日からずっと夢心地だったが、現実になった気がした。

メイド服の姿のチャニョルに一目惚れしたのは事実だけと、どこか現実的ではなかった。

本当に僕は、あのパクチャニョルと二人で約束していたのだ。



「なんだよ、ドタキャンでもすると思ってた?」

「だって…僕の一方的な片思いだし?」



昨日のラインからずっと夢のようだと思ってたなんて流石に恥ずかしくて言えなかった。


 
「…で、どこ行こうか?飯?」

「うんっ」




僕は、チャニョルに腕を回す。
他の女性たちに見せつけるように。

   





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16.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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チャニョルは僕の行動にかなり動揺しているように見えた。

僕だってこんな積極的な自分にびっくりしている。
ガンウという存在は偽りなのに、チャニョルへの気持ちはストレートに伝えられる。


「メニューでございます。」

「…ありがとう。」

チャニョルがメニューを、手渡ししてくれる。

「今日のオススメですが…
いちごのうさぎたんフレンチトースト、ペンギンさんのカルボナーラです。」


メニューを凝らすように見て、注文を迷っているように見せかけた。

僕はあることを聞きたくてうずうずしていた。
そう、ガンウだからこそ聞ける質問。


言わなきゃ今日でガンウは卒業…!

と、勇気を出す。



「じゃあ、ペンギンさんのカルボナーラとしろくまパルフェで。」


最初に目に入ったオススメと、人気No.1デザートを頼む。


「承知しました。」


行ってしまう…!

クイッ…

僕は声が出せず、思わずチャニョルの服の裾を引っ張った。


びっくりしてチャニョルが振り向く。


「…ニョルちゃんってさ」

「はい。」


「恋人はいるの?」



チャニョルの視線が痛くて、メニューを壁にした。
だって睨んでいない凄く大きな目がこんな近くにある。


ドキドキドキドキ…
 

「いないですよ。」


いないと言われるのは、営業上想定内だった。
だから、僕も思い切ってこんな返事をする。

「やった。
じゃあ僕立候補しよっかな?」


現実ならこんなこと言えないし。
好意が伝わったらいいなと思った。


「…ありがとうございます。
でも、入国した時だけ特別ですよ?」

チャニョルは慌てたりしないで僕をお客様として対応していた。

「あぁ、上手くかわされちゃったな。」


はぁ、ちょっぴり残念。
僕は本当に君の特別になりたいのに。
なんて、無理に決まってるんだけど。







そして、カルボナーラとパルフェがやってきた。
ここのお店は見た目が可愛いだけでなく、実際に美味しいので、食事も楽しみだったりする。


「ご主人様、お口に付いてますよ。」


チャニョルに指摘されて
つい頬を突き出した。


「ん」

「え?」

「今は僕の恋人でしょ?」


意地悪なこといったかな?
と、思ったがすぐにチャニョルが近づいて…
さっと口元を拭かれた。


「はい、綺麗になりましたよ。」

「…ありがと。」


行動に起こすまでが凄くスマートだった。
手慣れてる。

ってことは、僕は彼女と同じ様なことをされたって…こと?

ああ、もう…!
さっきから浮き沈みしっぱなしだ。



楽しい時間はあっという間に過ぎた。
なんだろ、シンデレラってこんな気分だったのかな。



そして、僕は最後の賭けに出た。



「いってらっしゃいませ、ご主人様」

「ニョルちゃん…ちょっと」

「はい、ご主人様。」


チャニョルの大きな尖った耳に唇を近づける。


「連絡先教えて?」

「え?」


チャニョルはびっくりしてこちらを見つめた。
動揺してるのがこちらにも伝わってくる。


「それはちょっと…」


やっぱりなと思った。


「…兄にチクるよ?」


僕は心底自分が悪い奴だと思った。


「ここに連絡して?」

自分を利用して彼を脅すなんて…


「…わかりました。」


チャニョルが紙を握る。
そう、僕は連絡先さえ手に入れればいいのだ。


ドギョンスがどう思われたっていい。

ガンウとして連絡出来ればいい。





その時は、本当にそう思っていた。








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15.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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メイドカフェを予約した日、僕は買ったコンシーラーを試しに顔に付けてみた。


「うーん…上手く行かないな…」


化粧と言うものを初めててしたので、何だか肌が浮いて見える。

学校で会うよりメイドカフェの方がチャニョルとの距離が近い。

僕はコンシーラーを指で拭った。

「…このまま行こう。」

ドギョンスの時の方が距離が遠いから少しくらい浮いててもわからないだろう。






「ド・ガンウ様ですね。
専属メイド、ニョルをお呼びしますのでこちらにお座りください。」

「ありがとうございます。」

初めてみたメイドさんに導かれ、僕は席を着いた。
暫く待っていると、高身長で長い髪のメイドがこちらに来るのがわかった。


ああ、彼が近くなってきて胸の高鳴る。


「お待たせしました、ご主人様。」

「来ちゃった。」


敵意のない目で見つめられて、思わず笑みが溢れた。


「昨日来たけど、いないって言われちゃったから予約したんだ。」

「予約ですか?」


しかし、初めて知ったような顔をされた。


予約自体を知らなかった?
それとも、予約したのが僕だと知らなかった?


「うん、べくさんが予約なら確実って言われて。
…迷惑だった?」

やっぱりガンウでもダメなのかも…
と、不安が過ぎった。

「いや、今日は出勤日じゃなかったので驚いただけです。」


どうやら、何も知らなかったのに来てくれたらしい。

その言葉にほっとした。
ダメなわけじゃなかったのだ。


「え、あ…そうだったの?
僕のためにありがとう。」



僕は、嬉しくて凄く大胆なこと行動をした。
思わず彼の手を両手で握っていた。

「会いたかった、チャニョラ。」


耳元で囁く。
彼が体を震わせた。



「お、お座りください…!」



ああ、どうしよう…
僕の行動で、仕草で…
反応してくれるのが嬉しい。






すみません、もうストックが切れたので
少なめか、毎日更新が出来ないかもしれないです。
よろしくお願い致します。m(_ _)m

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14.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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双子を装ったあと、僕は緊張で手が震えていた。
ああ、なんてことをしてしまったんだ…


こんなのすぐにバレるに決まっているのに…!


「パクチャニョル」


翌日、僕は思い切ってパクチャニョルに近づいた。

しゃがみこんでから立ち上がったチャニョルは、いつもより大きく感じた。


「何だよ。」

怖い…

「校章、曲がってる。」


咄嗟に目線を落として校章を直した。


「…お?おぅ…!」


ちらりと見たらチャニョルは僕をじっと調べるようにまじまじと見つめていた。

無理だ、聞けない。
絶対にバレる。


ドクンドクン…

なのに…


「何?」


僕は、至近距離で緊張しているのにも関わらず
チャニョルを思い切り見つめ返した。

蛇に睨まれた蛙と言うやつだ。
怯んだら負け。
すると、チャニョルから離れた。


少しほっとした自分がいる。


「いいーんちょー僕も曲がってるから…」

「わかってるなら自分で直せテイル。」


そして、少し残念な自分がいる。


「おー、こわ。
な、チャニョル?」

「あ、ああ…」



席に座って、胸を抑えた。
ドギョンスだとチャニョルとまともに話せない。
ドギョンスだとチャニョルの態度が冷たい。

僕はもう一人の自分、ガンウになってもう一度チャニョルに近づくことにした。










「お帰りなさいませ、ご主人様♡」



学校帰り、迎えてくれたのはチャニョルと腕を組んでいたあの他校の生徒だった。
”ベクちゃん“というらしい。
元々可愛らしい見た目だが、メイド服とツインテールという絶対的要素で更に可愛さに磨きが掛かっている。


「ニョルちゃんはいますか?」


でも、僕はチャニョルを推すけど…
チャニョルはベクちゃん推し…じゃないよな?


「見習いメイドのニョルですね?
今日はお休みなんですよぉ」


ガーン…

そうか、毎日いるわけじゃないのか…
調べずに来てしまった自分を悔いた。


「ご予約されますか?
ご予約なら確実におりますので!」

「はい、お願いします。」

「少々お待ちくださいねぇ」

と、液晶画面にタッチして確認している。


「うーん…難しそうですねぇ」

「え?!」

「明日もお休みで明後日は定休日なんですぅ」

「そんな!来週でも構いません!」

「まだニョルのシフトが決まってないんですよぉ。」

「そうなんですか…」

明らかにガックリと項垂れた。
その様子を見かねたのか

「…あ、じゃあ明日にします?」

「え?」

「べくちゃんが、魔法を掛けちゃいます!
ちちんぷいぷい、ニョルちゃん来い来いって!」

「え、あ…いいんですか?」

「じゃあご予約しておきますぅ!」


にっこりした笑顔でタッチしていく。


「では、ご主人様のお名前教えてください。」

「えっ…あ、ドギョ…」

「え?」

「…ドガンウです。」


僕は偽りの名前述べる。
ドキドキと胸が高鳴る。


「ドガンウ様ですね。
パスポートはお持ちですか?」


「はい。」


パスポートをタッチして、予約完了した。



「ドガンウさん。」

「はい?」

ポスターを見せる。

「かわちぃメイドさん投票には是非べくちゃんに入れてくださいね。」

「は、はい…」



ああ、名前がバレたのかと思った。







その日、僕はバレる要素のある耳の黒子や首筋の黒子が消えるようにコンシーラーを買った。

なんだか別の人間になるような変身した気分になってドキドキしていた。






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13.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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パクチャニョルは最初から目立つ存在だった。

高身長でモデルの様なスタイル、そしてふわふわな髪を茶色に染めてアイドルのようだった。


こんな校則だらけの頭のいいだけのお堅い高校に現れた王子様だ。


みんな、彼に視線を向ける。
最初は違う世界の人間だと見ないようにしていた。
しかし、抗うことは出来なかった。
いつの間にかキラキラした彼の姿を追うよう多数の一人になっていた。
 

奇跡的に同じクラスになったのに、彼は一言も話せないまま一ヶ月は簡単に過ぎた。


そして、彼は良くも悪くも目立っている。


髪の染色はもちろん、遅刻や早退が多い。
しかし、生徒会長の弟だからか先生も強く言わないのだ。


「なぁ、チャニョルってセラ様の弟の癖に素行がわるいよな。」

「ほんと、なんかチャラくて嫌い。」


はぁ…

地味な奴らはそうやって悪口をこそこそ言う。


「ギョンス、学級委員でしょ?
何か言ってよ。」

「え?」


彼らは小心者でチャニョルが怖くて何も言えないのだ。

しかし、チャンスだと思った。
少しでも彼に近づけると思ったのだ。







チャニョルが鞄も持たずに教室から出ていった日、
先生に彼の家の住所を聞いて鞄を理由に家に突撃した…が、失敗した。

学校内で、校則違反をしていないチャニョルに声をかけることは、自分にとって勇気がいることだった。



そして、チャンスはやってきた。

補修の日、話しかけようとしたら彼は居なかった。




「チャニョルは?」

「急いで帰ったよ。」

「え?」


外を見ると確かに帰っている。


「彼女とか~?」


ドキッ…


僕は彼を追いかけた。
そして、とあるメイドカフェに向かったのを見たのだ。



「ここは…」



理由はわからないが
これで次の日話しかける理由ができた。



ー翌日ー



「パクチャニョル。
パクチャニョル、起きろっ」



教室で、寝てるチャニョルに声を掛けた。

目を開いて数秒…
チャニョルの半開きな瞳が僕を見つめ…
 

「どぅわっ!」


思い切り離れられた。
やはりこの反応は辛い。


「なんだよっ」

「…昨日は補修を抜け出してどこに行ったんだ?」

「わんこを病院に連れてったんだよ。
ちゃんと許可を取ったっつの。」

「…そうだったか。」



嘘だ。

僕は追いかけたから知っている。

問い詰めるか考える。


「?…もういいか?
今日もバイ…」

「え?」


見たら口を閉じていた。

何を言おうとした?

もしかして…?


「なんでもないっ
じゃあな!」



チャニョルは、階段を長い足で掛けていく。
僕は彼を追いかけた。



「チャニョル…あの!」



もう少しで追いつくところだったが黒い影がチャニョルにぶつかったと思ったら引っ付いた。


「!」

 
他校の生徒だ。
がっちり腕を掴まれている。
チャニョルとあんなに仲がいい人を初めてみた。


あいつは誰?
彼の何?

もやもやとした感情が溢れ出た。


「よ、昨日はご苦労さん。」

「ベッキョナっ」

「バイト一緒に行こうぜぃ?」




やっぱりバイトだ…!

僕は鞄を持って家に一旦戻ることにした。




チャニョルはあのお店でバイトをしている。
その姿をみたかった。

バレたらまずいと思って私服する。
眼鏡もコンタクトにした。



これで遠くからみれたらいい。
そっと見守りたいのだ。



「お帰りなさいませ、ご主人様
パスポートはお持ちですか?」



しかしそこには、可愛すぎて眩しい君が笑顔で
僕を歓迎してくれていた。

一瞬で目を奪われて息するのも忘れた。
これがときめきだとわかった。


「え…!」


しかし、それは一瞬でチャニョルの目は泳いでいた。
こんなにも近いと流石に僕だと気づいたはずだ。
バッチリ顔を合わせるつもりはなかったのに…




「すみません、初めてで…
予約は必要でしたか?」




そして僕は何物にも囚われない
自由なもう一人の自分を装うことにした。







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12.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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―翌日―


『おはよう』

『今日は、バイトあるの?』

『もしかして、寝てる?』


俺は次々にくるガンウのラインを無視していた。
そして、久々なラインを返す。


『ドギョンスと話せる機会を作って欲しい。
体育倉庫裏でで待ってると伝えて。』


そう、事務的な言葉だけ伝える。







放課後、体育倉庫は今活動してる部活動が使っているらしく半開きになっている。

待っていると暫くして、ドギョンスがやってきた。


「ガンウから話は聞いた…どうした?」


近づくと、不機嫌そうに眼鏡を指で押さえる。


「なんでわざわざこんなところに
呼び出す必要があるんだ?」


じっとドギョンスを見つめた。
ああ、何でほんとにすぐに気づけなかったのか…


「ああ、多分眼鏡のせいだ。」

「は?」


ガッ…

俺は体育倉庫の中にギョンスを無理矢理押し込んだ。


「何す…!」


ギョンスの顎を指で掴み、持ち上げた。
顎下を指で拭うとコンシーラーが手に付着した。

そう、ここには印象的な黒子があった。


俺はギョンスを重なった体操マットに押し倒した。
じっと顔をよく見たあと黒縁眼鏡を無理やり外して投げた。


カシャン…


「や、やめろっ…」


眼鏡を投げた方向に向かったギョンスの腕を掴みワイシャツのボタンを引き千切った。

ビリビリ…!
ドギョンスの上半身の体が露わになる。


「僕が訴えたら君はどうなると…!」

「お前は俺に謝りもしないのか?
ドギョンス。」


「?!」


そして、首筋を親指でなぞる。


「ひゃっ…!」


ここには昨日ガンウに会ったときに一つ一つ唇を重ねていた場所だった。


そして、胸元に目を向ける。
俺が噛み付いた跡としるしが残っていた。


ドギョンスは手を止めた俺を見たあと自分の体を見つめて察したようだ。


目が一回り大きく開いて、ワイシャツを手で引っ張るようにして上半身を隠した。



真っ青な顔で、震えているドギョンス。



ああ、やっぱり…

ガンウなんていなかった。



「楽しかったか?
ガンウに夢中になる俺を見て、誘惑に負ける俺を見て…笑っていたのか?」

「チャニョラ、僕の話しを…」 

「聞きたくない。」


「チャニョラ…!」


「俺だって馬鹿じゃない。
双子だからって全部が全く一緒なんてありえないからね。
…だから、絶対に許せない。」




すがるように手を近づけて来たが、触れないように立ち上がった。



「君の甘い匂いや、北斗七星のような黒子も全て愛しかった。さよならガンウって伝えて、ドギョンス。」




俺は体育倉庫から出てそのまま振り返らなかった。

ドギョンスなら何を言っても胸は痛くならなかった。





そして、俺はガンウとの関係を断った。




 



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11.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



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俺はガンウを壁に押し付け、深いキスを繰り返した。

すると、ガンウが首に手を回す。


「ん、んん…チャニョラァ…もっとぉ」


キスが知らぬ間に上手くなったガンウ。
息継ぎもできなかったのに、今はもう終わるまで口を離すことはない。

くちゅりくちゅりと、知らぬ間に主導権も握るように、舌も絡ませてくる。



これ以上は、まずい。

力を抜くと、ガンウが唇を離した。


「…ダメ、おしまい」  


俺は理性を保てる所で引き離す。


「チャニョラ…」

「ん?」

「…何でもっとしてくれないの?」

「それは…俺等まだ、高校生だし…」



俺たちは、ずっと一線を超えていなかった。
超えたらいけない気がしたのだ。



「そんなの、関係ない。
チャニョラだって…同じ気持ちでしょ?」

「お、おい!」


なんとガンウがしゃがみ込み、ベルトに手をかけて、外す。


「もう限界だよ…」

「んぁ…」


ガンウが俺のモノを咥えた。
そして、ペロペロと一生懸命舐める。


「あ、やめ…」



スリ…

俺はガンウの耳を撫でた。



「あ…」



ああ、もう…

だめだ、我慢できない。


「ガンウ…」


ガンウは唇を離した。
そして耳元で囁く。


「ベッドいこ?」



その誘惑に俺はガンウの部屋の中に引き込まれていた。

部屋に着くと性急にガンウの服を脱がせた。
ぴんと勃つ胸の飾りに…



「ぁん…!」



がぶりと齧り付いた。



「ガンウ、ガンウ…!」


ベッドに押し倒し、ガンウの顔色を伺わず性欲のまま暴走した。

それは、性欲と怒りが同時に来たような感覚だった。


ああ、何で…
どうして…!




「痛い…よ 」




気づけばガンウが少し涙目になってこちらを見ていた。
確かに声を出していなかったことに気づいた。


「…ごめん、がっつき過ぎた。」

「大丈夫…」


俺は、齧り付いて強く吸い付いた胸の突起を、傷を治すように丁寧に舐めた。


「んぁぁ…チャニョラぁ…」




そして真っ白い胸に、吸い付いて後を付ける。

それでももう、終止符がついた。



「…今日は、ここまでにしよう。」

「え?」

「やり方わかんないし…
それに、ガンウを傷つけたくない。」



それは本心だった。



「やだ。最後までしてよ…
僕、準備…してる…のに…」

語尾が消え入りそうだ。

顔が赤くなってかわいい。

「…」



好きだ…




「ごめん、でも…その代わり…」

俺はガンウの足を開き、顔を埋める。

「んぁぁ…」



彼から溢れる蜜を舌で絡め取り…
そして口の中に頬張った。




彼を、僕は傷つけることは出来なかった。



 



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10.かわちぃ君の秘密

ギョンス✕チャニョル



_/_/_/チャニョル_/_/_/

ー数日後ー


ああ、有り得ない。


有り得ない。
有り得ないのに…!


カランコロン…


「お帰りなさいませ、ご主人様。」

「ニョルちゃん、ただいま。」


メイドカフェに慣れてきたドガンウ。
そのガンウを席に導く。


「…ニョルちゃんオススメは?」

「失礼しました、今日のオススメは
“嵌っちゃう推し沼ラーメン”と、“愛すぅ?ハチミツ揚げパン”です。」

「へー」


…俺は彼を凝視した。


「どうしたの?」


きょとんとしたガンウ。


「あ、何でもないですよ。
ガンウさん、横顔も綺麗ですね。」

そう言われると、首筋を撫でて…
目元を擦る。


「へ、変なこと言わないでよ…」



頬を染めて、視線をメニューに落とした。



「じゃあ、今日は”嵌っちゃうラーメン“と、”さっぱり?oh?!ギョーチ“にしようかな。」

「中華で攻めましたね、承知しました。」

頭を下げると、その位置がちょうど座ったガンウに近かった。

「チャニョリ、今日の夜僕の家に来ない?」

「え?」


ドキリ…


「家に誰もいないんだ。」


俺は、覚悟を決めて今日ガンウの家に行くことを決めた。


「…かしこまりました。」












「いってらっしゃいませ、ご主人様。」


“後でラインするね。“
そう言われて頷いた。


「…はぁ。」



バイト終了後、更衣室で着替えていると、思い切り顔を下から覗かれた。


「元気ねーな。」

「うわっ、びっくりしたっ」

「なんだよ、仕事の悩み?
嫌になった?」

「この仕事は…そこまで嫌じゃないけど…」 


変身願望があるわけじゃないけど、違う自分になれる感じが悪くない。


「…じゃあ何?やばい客?」

「やばくはないけど…」


確かにお客様の悩みではあるかも。


「まさか、本気で好きになっちゃったとか?」

「そ、そんなんじゃないよっ」

しかし、その反応が肯定と捉えられたらしい。

「やめとけ。
後始末がやばいぞ?」

「…」


ピコンッ…


“仕事終わった?“


ガンウから連絡があった。
そして、俺は服を着替えて…


ピコン…



“迎えに行こうか?“



大丈夫、住所教えて?

そう、返事をしたあと彼の住所を元に彼の家に向かった。




*****************


大きな門の横のインターホンを押すと、ガンウが走って出てきて鍵を開ける。


「凄い、豪邸だな。」

「無駄に広いだけだよ。」


そう言いながら庭を歩いて玄関に向かう。


「…なぁ、ギョンスは?」

「え?」


ガンウの背中に向かって話す。


「だって、誰もいないんだろ?」

「あ、ああ…友達の家に泊まってくるって。」


玄関の鍵をガチャリと開けた。


「…へー…あいつ、友達いたんだ。」

「チャニョラ」


玄関の中に入ると、ガンウが振り向いた。


「兄のことなんて、どーでもいいじゃないか。」


首に腕を回して、両手で頬を包まれる。

そして、背伸びして唇に触れるだけのキスをされた。



「…嫉妬?」



そう言うと、コクリと頷く。



「可愛い。」





俺は彼を壁に押し付けて、深いキスをした。

そんなことじゃないと、頭では理解していた。








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