体育会系男子の事情53

【カイ・シウミン】


シウミン・・・大学4年
カイ・・・大学1年

---

－食堂－


俺たちは、昼食の親子丼を配っていた。



「でさぁ、俺ルゥハン先輩に言われたんだよ。

"生き地獄みせてやるからな！"って！」



丼を持ちながらモノマネをする。



「えええ…！」

と、タオがたじろぎ…

「マジホラーだな。」

と、セフンが嫌な顔をする。



今日は、片付けを２年生がしているため配膳に余裕がありお喋りしながら配る。



セフンが、タオに問いかける。

「タオだったらさー、何が生き地獄？」

「んーっとねー、お化け！」




「お化けは、朝練は出ないから大丈夫だな。」

「あー！そっか！！」

と、俺が言うと嬉しそうに笑った。



「じゃあ、カイは？」



「俺は、縄跳びさえなければいいや。」

「持ってこなかったもんね！」

と、タオが相槌を打つ。



「…縄跳び？」

セフンが怪訝な顔をした。




はっ…！

まずい…！！




「どーゆーこと、タオ？」



セフンに何も言ってなかったんだった！！

タオはしどろもどろ喋る。



「え、えとぉ…縄跳びね、倉庫の中にあったんだけど…。

合宿ノートに書いてなかったから持ってこなかったの。」




「え？初耳だし…。

２年生に一応確認しなかったのか？」

「カイが大丈夫じゃない？って言ったから…」




ま、まずい…

こっち向いた…！！




「今日は、大根の味噌汁だよー」

「「は、はーい」」



食堂のおばちゃんに言われ、急いでお味噌汁を配る。



「はぁぁぁ…聞かなきゃよかった。」

と、セフンに大きなため息を吐かれた。




「ご、ごめん。」

「何か起きても僕は知らないからね。」



セフンにプイッとされた。



「セーフン！！俺らは、運命共同体だろー？！」


と、近づくと距離を取られた。


「あーもう、やめろ！バカ！」

「きゃきゃきゃ…！」





俺たちは笑っていた。





食堂の出入口で…

「いーこと聞いちゃった♪」

と、囁く声に気づくことなく。

---

「カイがな、砂浜の端っこで愛を叫んでたぞ♥」



俺は、衝撃的な言葉を聞いてしまった。

カイが俺にエールを送ってくれたらしい。



「…なんと。」

だから、ざわついていたのか！



「誰だ？！って気になって振り向いちゃったよ。

てっきり、聞いたから頑張っちゃったのかと思ったぞ！」




「ぬぅ… 」




聞きたかった…！！

納得と同時に、聞き逃したことを悔やむ。




「で、なんと言ったんだ？」

「え？それ聞いちゃう？」



にやーと、笑うスホ。

む。勿体ぶっている…。



「仲直りしたんだろー、本人に聞いたらどうだ？

あ、いちゃつくのはほどほどにしろよ？」




腕を組み、やれやれと眉をくいっと動かす。



「仲直りも何も、喧嘩などしていない。

戯れるのは当たり前だろう。」



"兄弟"なんだから！



「な、開き直るな！

部内の秩序が乱れる！！」




「何？！

弟を愛でて何が悪い！！」



スホは眉をしかめて固まる。



「お、弟？」

「そうだ。」




ふむ。

やっと理解してくれたな。




「…いやいや、似てねーし！

今更嘘付くな！付き合ってんだろ！！」




「嘘など付いてない。

親同士が再婚したんだ。」




「なっ！…るほど。」

スホはやっと落ち着きを取り戻したみたいだった。




「…ほんとか？」

しかし、いまだに疑われる。




「男同士付き合うわけないだろ？」

「…ん、まぁ…そうなんだけど！！」




と、やっとこさ納得してくれたみたいだ…が、

はっと思い出す。




「これは、他の皆には秘密だぞ？」

「なんで？」





「俺がカイに怒られるからだ。」

言うなと言われていたことを今思い出した。





「…お前、カイに甘くないか？」

「む、そうか？」





無自覚だったな。

まぁ、弟が可愛いから仕方がない気もする。





「それでもな、やっぱり特別扱いはダメだぞ。

秩序が乱れるからな！！」




と、念を押された。

---

スホもいまだに半信半疑…


FC2blogranking


にほんブログ村

#9988#9988#9988#