
シウミン・・・大学4年
カイ・・・大学1年
"時間ありますか?"
そう言ったカイの顔は、真剣そのもので…
「あ、ああ…もちろんだ。」
と、少し声がどもってしまう。
カイの方からそんなことを言ってくれたのはもしかしたら初めてのことかもしれない。
実は、凄く凄く…嬉しかったりする。
"カイがな、砂浜の端っこで愛を叫んでたぞ♥"
スホの言葉が蘇る。
何て言ったのだろう?
気になって仕方がない。
ふと、彼を見ると
どきっ…
じっ…と、カイに見つめられていたことに気付き何故か目を逸らしてしまった。
な、何で逸らしてしまったんだ?
「ミンソク!コーチが4年だけ集合だって。」
「わ、わかった!
カイ、あとでな!!」
俺は、慌ててスホの方へ向かう。
目をそらす理由はわからなかったが特に気にもしなかった。
カイに対してのちょっとしたいらいらや、どきどき…そしてもやもや…
それは全て、名もない感情のままでも特に気にならなかったからだ。
だって弟だから。
それ以上の理由なんて必要ない…
そう、思っていた。
今日までは。
"カイ、あとでな!!"
そう言ったはずなのに、練習が終わっても先輩から連絡はなかなか来なかった。
食堂来たときに声掛けなきゃ!
…なんて思っていたのに。
配膳中に2年生がやって来て
ベッキョン先輩から衝撃な一言。
「今日は、コーチと4年生いないから夕食残った分食べていいって」
「え?どーゆーことですか?」
「先輩たちは豪華な夕食を食べながら今後の練習の打ち合わせだってよ。」
「えぇ?!」
「飲みにでもいってるのかもなぁ。」
そ、そんなこともあるのか?!
「今日は自由だー!」
と、廊下で3年生が喜んでいたのはこれだったのか…。
横で、チャニョル先輩は相変わらずしょぼーんとしていて…
見ている方が辛くなる。
「先輩、大丈夫っすか?」
「…大丈夫に見えるか?」
見えないけど。
「俺は、今絶望を感じている。
…ぎょんすに嫌われたら今後をどう生き抜けばいいのかわからない。」
うぅぅぅ…
と、呻きながらオーバーリアクションだか、床に手を付けて四つんばになる。
「せ、先輩…」
俺もしゃがみこみ背中をぽんぽんと叩いた。
「俺がどんなに慰めても全然ダメなんよーw」
と、ベッキョン先輩がチャニョル先輩の頭をわしわしと犬みたいに掻き乱す。
「ベッキョンは俺の失恋を楽しんでんだろ!」
「だってー、お前の凹み方ちょっとうざいし!」
「酷いぞ!!おまえぇ!!」
いつもは元気で、キラキラポジティブ☆って感じだったからわかんなかったけど…。
結構ネガティブだったんだな…
いつもの異常な元気さも…
不安から来てるのかも?
「お前のせいだからな。」
「え?」
「何が、"言ってよかったと思います"だよ!
バカバカバカ!!
俺の甘酸っぱい青春を返せ!!」
「ええぇ!?」
ちょっと面倒臭い人になってる!!
「こんにゃろめぇぇぇ~」
立ち上がって、襲いかかられそうになると…
「チャニョル、ちょっと…」
と、ギョンス先輩に呼び出されていた。
****
うとうと…
あ、寝ちゃってた。
時間はもう既に12時を過ぎている。
トイレに行くついでに、4年生の部屋の周りをうろつくと帰ってきた様子はなかった。
まだ、飲んでるのかなぁ?
トイレに行ったあと部屋に戻ろうとすると…
「う…ん…」
俺の部屋の前にミンソク先輩が座っている。
「えぇ?!」
な、なんで?
どうして?!
いつからここに!?
「せ、先輩…
ミンソク先輩!」
「ん…」
自分を呼ぶ声に反応したのか首を左右にゆっくりと揺らす。
酔ってるのか?
眠いだけ…?
「お、お水飲みますか?」
「ん…?」
ミンソク先輩は、うっすらと目を開ける。
「カイ…?」
「カイですよ。」
すると、ぎゅっとTシャツを握りしめられた。
「会いたかったぁ…」
と、呟かれた。
そして、首を俺の肩に置いて抱きしめようとしてくる。
「カイぃ……」
どきどき…どきどき…
俺の心臓の音と
先輩の心臓の音が重なる。
「ひょんは、ひょんは帰ってきたぞぉ。」
ひょん…。
その言葉に胸がちくんとするのを感じる。
「お帰りなさい、ひょん。」
「…うむ。」
どくん、どくん…
俺の心臓は高鳴り続けるが…
「すぅ…すぅ…」
ミンソク先輩からは寝息が聞こえる。
「ひょん…?寝ちゃったんですか?
…ひょん、起きて。」
やばい、寝顔めちゃくちゃかわいい…
「起きないと…キスしちゃいますよー…」
すぅ…すぅ…
起きるようすはない。
誰も見てないよな…
と、思って左右を見回すと。
「はぁ…はぁ…おま、何してんの?」
汗だくのルゥハン先輩がいた。
……残念。

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