
続・ルゥハンとシウミンの一年生の時のお話
はぁはぁ
はぁー、はぁー…
結論から言わせてもらおう。
走っても、ぶっちゃけ何も変わらなかった。
「あー、きちー!」
ただきついだけ。
と、思ってたけど。
俺は大学内にあるベンチにドカンとすわりこんだ。
目の前には噴水がある。
水飛沫が、細やかで…じっと見つめてるとうっすらと虹が見える。
虹なんて見たのなんて何年ぶりで…
素直に"綺麗だな"って思えた。
そ、素直に。
******
お互いの呼吸が少しずつ整ってきてあいつが先に口を開いた。
「はぁ…ルゥハンは、走るのも速いんだな。」
久しぶりに全力疾走。
清々しかった。
ミンソクは俺を追い抜けなかったものの…
後ろからぴたっとくっついていた。
それが、なんか嬉しくて…
力を弱めることが出来ずに走っていた。
「当たり前だ。」
ふんっ、と鼻を鳴らす。
「わかったか?
お前と俺じゃレベルが違うんだよ。」
いつものペースに戻るべく俺は彼を見下す。
…が。
「ぬぅ…高校までサッカーしてたから脚には自信があったんだが…」
「え?!マジで?!
俺も中学までしてた!
ポジションどこ!?」
「おお、そうなのか!!
俺はMF(ミッドフィルダー)」
「俺は…!」
って、おい。
なんで俺が話に乗ってんだ!
しかし、なんでか嫌じゃない。
「どうした?」
不思議そうに首を傾げるミンソク。
「いや、なんでも。
それより、話の続き!」
俺は、彼と話しながらずっと考えていた。
なんだろ。
同じ目線で話してるのが最初はイラついて仕方なかったけど…
彼は俺に対して普通だ。
そう、真っ直ぐだ。
それは同い年なら当たり前のことなんだけど…俺はいつの間にか特別な扱い慣れていた。
一目置かれる存在。
と、言えば聞こえはいいが
実際の"特別扱い"は、まるで腫れ物に障るかのような扱いだった。
角張ったプライドはどんどん鋭利になる。
それと同時に、水泳の成績も上がったわけだけど。
「ルゥハン、ルゥハン聞いてるか?」
「え?」
目の前に彼が俺を覗き込んだ。
ドキッ…
「ち、近けぇよ。」
「あ、すまん。」
あー、もう…なんなんだよこいつ!
俺のことかんがえて無さすぎる!
「ルゥハンは、どうしてサッカーより水泳を選んだんだ?」
「それは…」
こんなこと言ったら…彼は笑うだろうか?
「俺、ターンが好きなんだよ。
ビューンって進んでさ、なんか人間じゃないような感覚が。」
彼は俺をじっと話を聞いている。
「ああ、水と一体化してる…みたいな。」
今は拒絶されてる感じだけど。
「そうか。
だから人魚に見えたのか。」
「だから、それやめろよ!
…あ。」
「どうした?」
「俺の弱点ってなんだ?」
そういえばミンソクは俺に何度か言っていた。
気になって仕方なかったんだ!
ミンソクの目が真ん丸になり…
「は、もうこんな時間だ!
練習に行かないと!」
「え?」
「では、また明日な!」
は、はぐらかされた?!
逃げられる!!
「ちょ、ちょっと待て!!
連絡先だけでも教えろ!!」
「お、そうだったな。」
と、ちゃっかり連絡先を交換した俺がいた。
ちゃっかりちゃっかり。

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