
シウミン・・・大学4年
カイ・・・大学1年
「焼けました!!」
俺は、食堂のテーブルに大皿でどんと野菜と肉を置いた。
わぁぁ~と、箸を盛ったタオがいち早く寄ってきて
後からきたセフンがぺちんと叩く。
「オセフ痛い!」
「先輩が先だろ!」
と、セフンが野菜とお肉を持ってルゥハン先輩
に渡す。
「はい!ルゥハン師匠…!」
「え…さ、サンキュー」
と、ルゥハン先輩はセフンからお皿を取る。
「オセフ!俺も~」
「え…ニョル先輩も?」
「え?!何だ態度は~!」
なんて話しているときに、俺は一人その場から離れているミンソク先輩の側に向かった。
はぁ…
と、ため息を吐いている。
「ミンソク先輩」
「…」
「ミーンソク先輩!」
俺は後ろから声を掛けて、片手でぽんと肩を叩いた。
「む?」
「お肉焼けましたよ~」
「お。そうだったか。
あとで…」
と、言ったところでミンソク先輩用に盛っといたお皿を目の前に置いた。
「どうぞ。」
「…すまんな。」
しかし、食べる気配がない。
や、やっぱり…なんか悩んでるのだろうか?
ルゥハン先輩のこと…?
「先輩、食べてください。」
「ぬ?」
俺はミンソク先輩が食べるのを急かした。
「先輩、勝ったのに元気ないじゃないですか。
食べて少しでも力つけて下さい。」
「カイ…?」
「ね?」
とんちんかんなことを言ってるのは十分承知だったが
ぼーっとしてる先輩を見ていられない。
じーっと食べるまで見つめていたら…
すると、それもそうだなと納得して野菜から手を付けた。
「ん。」
「どうです?美味しいですか?」
もぐもぐっ…
もぐもぐっ…
口の中が頬袋みたいに膨れる。
ミンソク先輩は食べながら、拳を握って親指を立てた。
「うむ。
少々焼きすぎだが、美味い。」
「よかったっす。」
そのときは笑顔が戻ってきたように思えた。
ゾクッ
しかし、そのあと悪寒を感じた。
振り向くとルゥハン先輩が遠巻きから俺を見つめて…
いや、睨んでいた。
あれからルゥハンとはちゃんと話ができなかった。
話したくないのだろう…俺は避けられているのだ。
俺が話そうと思ってもセフンとタオが側にいて話が出来ない。
はぁ…
何故話したくないのか?
何故話せないのか…?
そればかりが頭を巡らす。
俺には言えないことなのか?
"ミンソガ~"
いつのまにかそんな風に呼んでくれるようになって…
心を開いてくれていると思っていた。
それは間違っていたんだろうか…?
「ミーンソク先輩!」
肩をぽんと叩かれて、やっと後ろの気配に気付く。
「む?」
「お肉焼けましたよ~」
振り向くと、カイが立っていた。
俺は彼を見上げる。
食欲…今はない。
「お。そうだったか。
あとで…」
と、言ったら小盛りされたお皿を置かれた。
「どうぞ。」
「…すまんな。」
食欲なんかないのに…
"今はそーゆー気分には到底なれない。"
そう伝えようとすると…
「先輩、食べてください。」
「ぬ?」
カイは俺をじっと見つめて微動だにしない。
少しだけ圧力を感じた。
「先輩、勝ったのに元気ないじゃないですか。
食べて少しでも力つけて下さい。」
「カイ…?」
「ね?」
カイは…俺を心配しているのか?
そんな態度に出るほどだったと思うと少しだけ申し訳なくなってしまった。
カイを心配させてはいけない。
俺は兄なんだから…
全く食欲がなかったが無理矢理胃に入れようと野菜を箸で挟む。
ぱくり…
ん?
ぱくり…
「ん。」
「どうです?美味しいですか?」
もぐもぐっ…
もぐもぐっ…
食べると野菜の味が広がり…どんどん口に含んだ。
まるでカイが食欲を呼び覚ましたようだった。
「うむ。
少々焼きすぎだが、美味い。」
胃が膨れると…
少し、心が軽くなったような気がする。
大丈夫…
ルゥハンのことはなんとかなる。
大丈夫…
カイが笑顔になる。
俺の顔を見てほっとしたようだった。
「よかったっす。」
少しだけ胸が…
とくんと、した。
エイプリルフールネタなんも考えてませんでした…

FC2blogranking

にほんブログ村
XOXOkaixiuXOXO


