
二人のなれそめスピンオフ
「集合。」
「「はい!」」
俺たちのチームの4年生の先輩が事前に決めた順番を言い渡される。
「…ってことで、三番手はチェンはバタで。」
「は、はい。」
「四番手は…」
よぉ~し…
頑張るぞ…!!
一年生ながらもここは貢献しないと…!
そして…
チラリとレイ先輩がいる方向を見た。
先輩はあっちのチームの4年生の先輩と話をしている。
先輩にも…いいところを見せられたらいいな。
なーんて…!
ダメだダメだ!集中しないと…!!
パンパンと頬を叩いた。
と、思ったら俺より集中してない人がいた。
「ミンソガ~、緊張するぅ。
ハグして…!」
と、全く緊張してなさそうなルゥハン先輩がミンソク先輩に向かって両手を広げる。
ミンソク先輩はため息を吐いた。
「…仕方ないな。」
と、先輩はルゥハン先輩の後ろに回った。
え?!
ハグするの?!
後ろから?!
俺はつい振り向いてしまう。
すると、俺以外にも何人かその様子を見ていた。
ミンソク先輩が…ゆっくりと手のひらを…!!
大きく振りかぶって…?!?!
バシンッ…!!
プール全体に…凄い音と声が響いた。
「ぎぁぁ!」
ルゥハン先輩の背中に…真っ赤な紅葉の痕がついた。
「み、ミンソガぁ…ひど」
「ルゥハン、気合いだ!
ファイティン!」
ミンソク先輩のキラリとした笑顔にルゥハン先輩は何も言えなかったみたい…。
うんうんと、笑顔で頷いていた。
そして…遂に一番手の先輩がスタートラインに立った。
ごくり…
緊張感が一層高まる。
ピーッ…
そしてついにスタートする。
「せんぱーい、ファイティンですよー!」
紅白戦は順番がくる直前まで誰と泳ぐのかわからない。
俺はニ番手の先輩が泳いだ瞬間にスタート位置に立つからだ。
わぁぁ…
と、盛り上がる。
俺の心に少しだけ余裕ができた。
こちらのチームがターンで差をつけていたからだ。
周りを見ると…レイ先輩が全くプールの方を見ないで壁を見ていた。
肩が震えている。
…もしかして、緊張してるのかな?
「レイ先輩、大丈夫ですか?」
触ろうとすると。
パシン…
然り気無く拒否された。
「対戦相手のフォローなんて…
随分生温いな。」
え?
俺は動揺する。
「武者震いだよ…?」
見たことがない先輩がいた。
…なんだろう、この感じ。
「チェン!」
俺はミンソク先輩に呼ばれた。
はっ…!
順番は次だ!
俺が並ぶと…
何故か隣にレイ先輩が並ぶ。
え?
レイ先輩は、フリーじゃ…?
俺と並んだら…バタをやることになる。
「チェン。
僕が勝ったら…なんでも言うこと聞いてね。」
「え?」
「それくらいしないと燃えないから。」
横でにっこりと微笑された。


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