
二人のなれそめスピンオフ
紅白戦の前…
僕は、4年生の先輩に呼ばれた。
「…お前さ、バタできるよな?」
「え?」
まさか、そんなことを言われると思ってなかった。
実は、先輩は腕を痛めたらしい。
「無理だったら…」
「いえ、やります。」
僕は即答した。
フリーにしてから腕の調子は段々と良くなっていた。
そして、多分泳ぐ相手はチェンの可能性が高い。
こんな機会、めったにない。
***********
ゆっくりと落ち着いてからプールに戻った。
そういえば、チェンは僕がバタをしていたこと誰かに聞いたみたいだった。
だから…ちょっとびっくりさせてやろう。
ビックリするんだろうなぁ…
そんな顔も見てみたい。
はぁぁ…
にやにやが止まらないよぉ。
始まってからもにやにやが止まらなくて…落ち着くように真っ白い壁を見て落ち着かせていた。
頭の中を真っ白にすることができるから。
すると…
わぁぁ…
応援の声が耳を支配する。
そして、ばしゃ、ぱしゃん…
水を弾く音…
すぅ…
一気に体が冷たくなる。
血液が水のように流れる。
体が…水を欲する。
そのあとは…
「レイ先輩、大丈夫ですか?」
パシンッ
僕は誰かわからない手を振り払った。
振り向くとチェンがいる。
「対戦相手のフォローなんて…
随分生温いな。」
チェンの瞳が揺れた。
そう、今戦おうとしてる相手に優しすぎる。
「武者震いだよ…?」
反応に困っているチェンがいた。
怒らずに、ハの字眉になるチェン…
かわいい。
今すぐにでも食べちゃいたい。
「チェン!」
チェンはミンソク先輩に呼ばれて列に並んだ。
チェンのチームが差を付けていて慌ててコースに立つ。
僕も並ぶと…
チェンはやっと状況を理解したみたいだった。
「チェン。
僕が勝ったら…なんでも言うこと聞いてね。」
「え?」
「それくらいしないと燃えないから。」
僕がチェンに甘くなっちゃうからね。


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