
なれそめスピンオフ。
「ふーん。」
「レイ?」
「だから、バタをしたあと明らかに態度が変わったんだね?」
レイが少し不機嫌な気がした。
てっきり
"ほんとに?!"
何て言って抱きついてくると思ったのに。
「チェンは過去の僕が好きってこと?」
「え?」
はぁ…
と、ため息を吐かれてしまった。
「悔しいなぁ…。
今の僕にはまだそんな魅力が無いってことだよね?」
「そ、そーゆーわけじゃなくて…!」
ああ、なんか…変な方向に…!
「僕はね、今のチェンが好きだよ。
チェンの恋人になる子は幸せものなんだろうなぁ…って思ったら僕がなりたくなっちゃったの。」
そ、そうだったんだ。
知らなかった。
「でも、チェンは違うよね。
過去のバタをしてる僕が好きなんだ。」
「そんなことない…!」
レイがベットから離れてしまうんじゃないかと思って体をくっつけた。
「ん…」
レイは離れることなく俺にキスをする。
啄むように…
何度も何度も…
「んぁ…ん。」
両手首をぎゅっと握りしめ…
俺は囚われた。
「でもね、分かってても離してあげられない。
…だって、チェンのこと好きだから。」
真剣な瞳で言われてきゅんとする。
「今の僕はあまり魅力的じゃないかもしれないけど…絶対に好きにさせてみせるよ。
メロメロに、ね?」
そして、強く押さえながらキスをしてきたんだ。
深く深く…噛みつくみたいに。
レイ…ほんとに俺のこと好きなんだ。
過去の自分自身に嫉妬しちゃうくらい。
とくんとくんと高鳴る。
「メロメロって…
これ以上好きにさせてどうするつもりですか?」
「え?」
「とっくに好きなのに。」
ほんとに困るくらい。
チェンがキラキラした瞳で見つめてきた理由がわかり、正直あまりいい気分ではなかった。
チェンは、バタを泳いでいた過去自分が好きなんだと。
結局、今の僕ではないのだ。
正直、一番輝いていた時期だったと自覚がある。
…だから辛い。
あのときのように自由に体を動かしていた自分はいないのに。
自然と力が強くなる。
彼が離れてしまわないように。
「メロメロって…
これ以上好きにさせてどうするつもりですか?」
「え?」
「とっくに好きなのに。」
チェンが笑顔で僕を見つめる。
「憧れの人だったから好きな訳じゃないですよ。」
「え?」
「惹かれた人が、実は憧れの人だったなんて…
なんかほら、ドラマみたいな運命を感じちゃって…」
「…運命?」
チェンは、"運命"と言う言葉が恥ずかしかったのかはにかんだ。
「後輩にも優しくて、甘えさせてくれて…
居心地が凄く良くて…そんな今のレイを好きになったんです。」
「ちぇ、チェン!」
ぎゅぅ。
嬉しくてまた抱き締めた。
「く、苦しいです、レイ。」
「チェン、ほんとに思ってる?
ほんとに好き?」
うん、うんと頷く。
か、可愛い…!!
「多分、僕のこともっと知ったら幻滅しちゃうかもぉ…」
「大丈夫です。」
「…じゃ、お風呂入ろっか?」
「え?」
「お風呂でじっくり体に聞きたい。」
「あ、あほ!!」
べしっ…
今度は然り気無くちょっと本気で殴られた。
「あ、ごめんなさい…つい、ツッコミを…」
「へぇ、チェンに突っ込まれちゃった。」
意外!そんな俊敏な動きもするんだ。
ますます好きになっちゃう。
「あ、変な意味じゃなくて…えと。」
ってまた赤くなるし…!!
「チェンになら、突っ込まれても平気だからぁ~!」
「えぇ?!」
「じゃ、…お風呂入ろっか?」
って肩を撫でるとチェンはゾクゾクと震えた。
「大丈夫、本当に何もしないから。」
そういいながら僕はおでこにキスをする。
これからいろんなチェンを知ることができるんだと思うと
ドキドキとわくわくで心臓が高鳴る。
チェン…多分君は、憧れて僕のことを好きになったかもしれない。
もしかしたら、その夢が解けて幻滅しちゃうかもしれない。
それでも、離せないから。
「好きだよ。」
レイは全然わかってない。
幻滅してたらとっくにこんなことしてないのに。
やっとお風呂まできた。
そして普通に洗ってくれている。
「…お互いに、気持ちが伝わらないみたいですね。」
「え?」
「何もしないって言われて逆にショックです。」
「えぇ?!」
背中を洗ってくれていたレイがこっちを向いた。
「少しくらい期待してた俺がバカみたいです。」
「そ、そうなの?!
嫌がってないの?!」
もー…
「好きなら…当然です。
それに嫌だったらほんとにぐーぱんしますから!!」
「え?!ぐーぱん痛いし!!」
って言われてあははって笑ってしまった。
「レイの子供っぽいところも好きですよ。」
「チェン~…どこまで僕を惚れさす気?
…じゃあ、お尻向けて?」
「え?!」
「変な気持ちになりそうだから、掻き出すのは自分でお願いしようかと思ったけど…」
「か、掻き出す…?!」
あ…
そうか…これはちゃんと出さなきゃいけないのか。
よくわかんないし…
「お、お願いします。」
俺は、レイの言うとおりおずおずとお尻を向けた。
「チェンってほんとに無防備で心配…」
ぐいっ…
「え?…ぁん!」
結局、レイの思うがままに…なっちゃったかもしれない。
明日まで書きますね。


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