
シウミン・・・大学4年
カイ・・・大学1年
「み、ミンソク先輩…」
俺はびっくりして固まってしまった。
一体いつからそこに…?
「お、ミンソクどうした?珍しい。」
「…本を借りに。」
俺とスホ先輩が座っているこたつまですたすたと歩いてくる。
「お、何がいい?!」
「うーんと…」
「じゃあ、これなんかどうだぁ?」
と、二人で本棚を見て会話している。
ど、どうしよ…
さっきの話、聞かれたか?
俺はどぎまぎしながら二人の様子を見ていた。
「あとは?
何か借りたいものはあるか?
DVDもあるぞ♪」
スホ先輩は、アニメ仲間を作りたいみたいだ。
ミンソク先輩の視線は俺に向いた。
がっと腕を握られた。
俺はびっくりして目を見開く。
「スホ、ちょっとカイを借りる。」
「え??
ミンソク?!」
俺はずるずると腕の力が強い先輩に引きずられ部屋を出た。
そして、先輩の部屋の中に向かう。
先輩は前を向いていて表情は見えない。
バタンッ…
先輩は無言で俺と部屋に入った。
「せ、先輩…?」
ビクビクして先輩が何か言うのを待っていた。
ただ俯いていて、少し眉間にシワが寄っている。
もしかして…怒ってる?
先輩はゆっくりと口を開いた。
「…カイは、スホが兄の方がよかったのか?」
「え?」
や、やっぱり聞かれてた!
動揺しつつも、誤解だと答えようとしたら…
「嫌だ!」
ぎゅっ…
俺はミンソク先輩に抱き締められていて…
「俺はカイがいい!
カイじゃなきゃ嫌だ…!!」
更に更に先輩は俺を抱き締めた。
先輩の瞳は少し潤んでいるように見えた。
「俺の側にいろよ…」
-数日前-
とんとん…
ノックされてドアが開く。
「おはよう。」
練習前にコーヒーを飲んでいるとスホが部屋にやって来た。
「おー…」
一瞬カイかと期待してしまった。
「今、いいか?」
スホは、こたつに座ると話をし始める。
「カイのことなんだけど。」
「うむ。」
「お互いの為に一旦離れてみたらって思うんだ。」
「…」
「お互いがお互いが気になって練習集中出来てないだろ?
インカレまで時間がないんだぞ?」
と、最もな意見をくどくどと話された。
率直に余計なお世話だなと思った。
これは兄弟の問題なのに、なんでスホが入ってくるんだと。
しかし…
「カイも、自分の練習に集中出来ないみたいだから。」
と、言われてしまい何も言えなくなってしまった。
弟の練習の妨げだけにはなりたくはない。
「これを機にブラコン卒業だな。」
ブラコン?
誰が?
俺が??
スホが言ってることがよくわからなかった。
俺はそもそもブラコンではない。
カイのことだってちゃんと尊重してる。
…そう、思っていた。
数日経つと情が出るのかカイがスホと仲良くなっているように見える。
俺がずっとカイのことばかり考えてるのに
カイは、スホに心を開きはじめているんだ。
極めつけは…気になって部屋を訪れた時だ。
二人は仲良くこたつで話をしていた。
"スホ先輩が…兄だったらよかったのにな…"
そんな言葉を聞いてしまい平静を装っていたが…我慢出来なかった。
どんどんカイの心が俺から離れていく。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ!!
*********
「俺も、ミンソク先輩がいいです。
ミンソク先輩じゃなきゃダメです。」
「え?」
カイを離すまいとしていた腕が緩み顔を上げた。
すると、顔を両手で覆うように包まれ…
ゆっくりとカイのぽてっとした唇が触れる。
ああ、あの時の感触と同じだ。
と、思いながら目を閉じた。
100話でやっとこさ…

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